2010年8月20日 (金)

Sei posti senza luna

『新月の夜、6人で』(仮題)
ロベルト・ピウミーニ&ジョヴァンナ・スカルファーティ作
"Sei posti senza luna"
text by Roberto Piumini & Giovanna Scalfati
Edizione E. Elle 1994, 127pp.
ISBN: 88-7068-665-5

 ミラノに住むダニーラとジョヴァンナは、夏休み、それぞれのひとり息子、エミーリオとアンドレアを連れて、ダニーラの故郷であるトスカーナの田舎にやってきた。カーブの多い道でジョヴァンナは車に酔ってしまい、幸先のいいスタートではない。
 着いて早々、エミーリオは昔なじみの少年たちに会いたがる。自分がいるのになぜ……という嫉妬心と、ばかにされたくないというプライドもあって、アンドレアは少年たちの前でいきがってアルコールを飲むが、気分が悪くなってもどしてしまう。
 親たちは子どもたちを楽しませようと、車でラヴェンナまで連れて行ったり、テニスをさせようとしたり、いろいろと計画を立てるが、そんな気持ちを知ってか知らずか、息子たちは親たちよりも少年たちと一緒に過ごすことを好んだ。ダニーラの家にあったテントを持ち出し、一晩みんなで野宿をしたいとまで言い出した。ジョヴァンナを不安でたまらないが、子どもたちのしたいようにやらせることにする。
 中学生の男の子ふたりが男の子から少年に成長する話というよりは、中学生の息子を持つ母親が何とか子離れしようとする話なので、子どもよりも大人が読むべき物語かもしれない。

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2010年7月18日 (日)

Quell'estate al castello

『お城で過ごしたあの夏』(仮題)
ベアトリーチェ・ソリナス・ドンギ作
"Quell'estate al castello"
text by Beatrice Solinas Donghi
Edizione EL 2000(初版は1986), 169pp.
ISBN: 88-7068-073-8

 転校生のイッポリータと仲良くなったジーナは、夏休み、イッポリータのおじさん夫婦のお城に招かれた。イッポリータの両親は別居中で、当時のイタリアでは離婚が認められていなかったため、お父さんはブラジル、お母さんはアメリカにいた。写真で見るイッポリータのお母さんはまるで女優のようなきれいな人。お母さんを崇拝しているイッポリータにとって、おじさん夫婦はイッポリータとお母さんの間を引き裂こうとするひどい人なのだという。
 一緒にお城の中を探検したり、地下の洞窟に侵入したりしながら毎日を過ごしていたが、イッポリータはお母さんから手紙が届かないのが不安でたまらない。ある日ジーナは、イッポリータが家庭教師と勉強している間に届いた郵便物の中に、お母さんがおばさんに宛てた手紙を見つける。消印から、お母さんがアメリカではなくパリにいるのを知ったイッポリータは、家出を決意し、ジーナの協力の下、決行するが……。
 特に明記されていないが、舞台はおそらく1930年代だと思われる。お城の中の探検や宝探し、意地悪な(?)叔父夫妻など、児童文学の定番のような要素が詰まっている。ジーナとイッポリータとの友情の物語でもあり、それぞれの家族との物語でもある。ふたりが大人になったとき、この夏のことを振り返り、「あの夏を境にわたしは大人になったのかもしれない」と思うかもしれない、そんなひと夏の物語である。

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2008年2月20日 (水)

Storie per chi le vuole

『おはなしがすきな人のためのおはなし』(仮題)
ロベルト・ピウミーニ作
"Storie per chi le vuole"
text by Roberto Piumini
illustrations by Barbara Nascimbeni
Edizione EL 2005(初版は2003), 130pp.
ISBN: 88-7926-538-5

 マリアンナとアンナマリアは双子。顔はそっくりでも性格は正反対。アンナマリアはしょっちゅうマリアンナの洋服を着たがり、やさしいマリアンナは快く貸してやります。でも、洋服のほうはアンナマリアのことを好きではないので、面白くありません。
 ジョヴァンニは電話中毒。どこにいようと、周りの迷惑などお構いなしに、大声で携帯電話に向かって話すので、ジョヴァンニの耳と口はジョヴァンニを懲らしめてやろうとします。
 いつものようにお母さんと一緒にスーパーへ出かけたカルロッタ。売り場にあるものに夢中になっていて、ふと気がつくと、お母さんがいません。
 35の短いお話が収録された物語集。ピウミーニの創作もあれば、「うさぎとかめ」「カエルの王子」のような、よく知られた昔話もあります。マリアンナとアンナマリアの話や、電話中毒のジョヴァンニの話のように皮肉っぽい話もあれば、スーパーで迷子になったカルロッタの話のように、日常生活のひとこまを寓話的に描いたものもあります。
 スーパーにいたあるものに助けてもらって、無事お母さんに会えたカルロッタですが、実はお母さんとはぐれていたのはたったの20秒でした。「でも、20秒は、怖がっている小さな女の子にとって、とても長い時間なのです。」という言葉に、作者の心の温かさを感じます。

(1807頁/3000頁)

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2008年2月18日 (月)

Dammi un whisky, Samanta!

『サマンタ、ウィスキーをくれ!』(仮題)
キアーラ・ラパッチーニ作
"Dammi un whisky, Samanta!"
text & illustrations by Chiara Rapaccini
Giunti Junior 2007(初版は1997), 80pp.
ISBN: 978-88-09-05405-9

 イヴァンとサマンタはどこにでもいる普通のきょうだいだった。両親が、突然、子どものようになってしまうまでは。
 父さんはトースターやドライヤーを組み合わせてロボットを作り出したり、何時間もお風呂でおもちゃと遊ぶようになり、挙句の果ては会社に行くのを嫌がって、1日中家で遊んでいるようになった。母さんは家事を放棄して、サマンタのバービー人形とばかり遊んでいる。たまには洗濯くらいすれば!といえば、バービーの洋服だけ洗う。イヴァンとサマンタは子どもになってしまった両親の面倒をみることになり、疲れ果ててしまう。
 そんなある日、スーパーのレジの男性と恋に落ちてしまった母さんが、父さんと離婚する!と言い出した。離婚の手続きのため、4人で裁判所に赴くが……。
 心の病を抱えた両親と付き合う子どもを少し寓話的に描いた話?と思いながら読んだが、現実感がなく、最後どうやってまとめるのだろうという期待も肩透かしだった。
 作者のキアラ・ラパッチーニはイラストレーターでもあり、この本の挿絵も描いている。全体的に寓話的な印象を受けたのは、挿絵のせいもあるかもしれない。

(1677頁/3000頁)

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2008年1月12日 (土)

Diario di primavera

『春の日記』(仮題)
ロベルト・ピウミーニ作
"Diario di primavera"
text by Roberto Piumini
illustrations by Emanuela Bussolati
Edizione EL 2007, 126pp.
ISBN: 8847716470

 赤ん坊のころのアルバムを見ていたラウラは、洗礼式のときの写真にお父さんがうつっていないことに気づきました。お父さんやお母さんに尋ねる勇気はなく、フラン叔母さんや、ルイーザおばあちゃんに聞いてみます。けれど、ふたりの答は矛盾していて、どちらかがうそをついていると確信します。
 一方で、ラウラは新しいクラスメート、アンナと仲よくなりました。アンナは勉強はできるのに本が読めない、ディスレクシアという障害を抱えています。ラウラはアンナに何とか本を読ませようと、いろいろと奮闘します。また、親友のマーゴットから好きな男の子がいると打ち明けられます。実はラウラももその子が好きなのですが、マーゴットには言えません。また、日記帳が残り少なくなったため、新しい日記帳を買おうと考えます。けれど適当なものが見つからず、ラウラは絶望しかけます。
 "Diario di La"(『ラウラの日記』よしとみあや訳/さ・え・ら書房)、"Molte lettere per Sei"に続く、「ラウラの日記」シリーズ第3弾。2作目で起きたできごとをきっかけに、日記への呼びかけが "Di" から "Dis" に変わっている。これまでにない深刻なテーマで、ミステリー的な要素もあり、結末が気になって一気に読んでしまった。
 ラウラはお父さんに嫌われているのではないかと心配してます。学校から、環境を守るために3日間、学校まで車でなく徒歩で通うようにいわれたとき(イタリアの小学校では親が送り迎えすることになっています)、出勤前の忙しいお父さんが付き合ってくれるかどうか不安でした。でも、お父さんはいいよと言ってくれて、学校まで歩きながら、通りのポスターを見て、3歳のラウラと散歩したときの思い出を語ってくれます。この場面は秀逸です。
 日記問題は無事解決するのですが、解決方法に心が温まりました。ロベルト・ピウミーニの作品を読むたびに、世の中って悪くないなと思います。

(1065頁/3000頁)

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2007年12月26日 (水)

Cambio di stagione

『季節の変化』
アンジェラ・ナネッティ作
"Cambio di stagione"
text by Angela Nanetti
Edizione EL 1988, 123pp.
ISBN: 88-7068-150-5

 パオロとアンナのひとり息子、16歳のマルコがバイクを運転中に事故に遭い、意識不明の重態となった。パオロは病院で、マルコの恋人だという女性に会う。ここ数年、家庭を顧みることのなかったパオロは、恋人の存在は知らず、マルコの変化にも気づいていなかった。一方、たびたび息子と衝突していたアンナは、恋人の存在も、マルコが問題を抱えていたことも知っていた。
 約2日間にわたるマルコの状態の変化や、パオロの心境が綴られ、同時に、マルコがパーティで2つ年上のヴァレーリアに出会い、その後、再会して付き合い始め、恋におぼれ、彼女の元恋人への嫉妬に狂い、破滅していくさまが描かれる。事故に遭った日、マルコはどこへ行こうとしていたのか? 何をしようとしていたのか?
 16歳の少年にとって、2つ年上の女性は大人である。とはいえ、子ども扱いはされたくないので、精一杯大人ぶってみせようとするが、うまくいかない。18歳の少女にとって、16歳の高校生は子どもっぽく感じられるが、その子どもっぽい部分までまとめて受け止められるほど、成熟しているわけではない。そんなところから悲劇が生まれる。
 学校もバスケットボールの試合も家族も、ほかのことすべてがどうでもよくなってしまうような、激しい恋は、真面目で内気な少年ゆえだったのだろうか。
 Edizione EL 社のYA向けシリーズ、"EX LIBRIS" の刊行第1冊。このシリーズは、1994年にイタリア・アンデルセン賞(シリーズ部門)を受賞している。

(939頁/3000頁)

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2007年12月21日 (金)

Il mondo nei tuoi occhi

『君の瞳の中で』
ロレダナ・フレスクーラ&マルコ・トマティス作
"Il mondo nei tuoi occhi: due storie di un amore"
text by Loredana Frescura & Marco Tomatis
Fanucci Editore 2006, 169pp.
ISBN: 88-347-1154-8

 コスタンツァとアンジェロ。別々の高校に通う16歳のふたりが、小さな町の小さな駅で出会い、恋に落ちた。初めてのデートは、サンタクロース姿の変質者に邪魔されたものの、それがかえってふたりの結びつきを強め、2度めのデートでキスを交わす。このまま順調に進むのかと思えたが……。
 アンジェロが「ばれなければ大丈夫」という気持ちでとった行動が、自身もコスタンツァも深く傷つけ、両親の信頼も失ってしまう。一方、コスタンツァは親友キアーラの妊娠に驚き、両親の別居に戸惑い、キアーラのお腹の赤ん坊の父親の名前を知ってショックを受ける。
 章ごとに語り手が替わり、アンジェロが語る章、コスタンツァが語る章が、ほぼ交互に入る。冒頭、ふたりはすでに会わなくなっており、続いて、ふたりが出会った2か月前から冒頭の日まで、そしてその後に起きたできごとが語られる。
 ティーンエイジャーならではの衝動的な行動と軽率さに、リアリティーがあった。軽はずみな行動に、偶然と勘違いが重なって、うまくいかなくなってしまう恋愛はきっと多いはず。アンジェロは、コスタンツァとつきあうようになったら、なぜかほかの女の子からも誘われるようになるが、そういうことって確かにあるかもしれない。でも、そういうとき、いい気にならずに、自分にとって一番大切な存在なのは誰かなのか、大切な相手を傷つけてはいないか、慎重に考えなければならないと思う。
 Fanucci Editore 社が出しているYA向けシリーズ "Teens" の1冊。2006年イタリア・アンデルセン賞、12歳以上部門受賞作。

(816頁/3000頁)

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2007年12月15日 (土)

Apriti cielo!

『何てこと!』
サビーナ・コッロレード作
"Apriti cielo!"
text by Sabina Colloredo
Edizione EL 2005, 85pp.
ISBN: 88-477-1579-2

 中学3年終了試験を終えると、エリザは妹のマティルダといっしょに、ウンブリア州にある叔母の家へ向かう。母は亡くなり、仕事で忙しい父は娘たちのことには関心がなく、娘たちのことはベビーシッター任せ。父とは家でもあまり顔を合わせない。夏、叔母の家で過ごすのは毎年のこと。去年の夏、エリザはエルネストというハンサムな男の子と付き合ったが、裏切られたことを知って、すぐに別れてしまった。そのエルネストは、ガールフレンドが妊娠したため、もうすぐ結婚するという。まだ16歳だというのに!
 マティルダと叔父、叔母、従兄のエルマンノ、そのガールフレンドのテレーザと一緒に、日々淡々と過ごしていたエリザを、幼なじみのセルジョが訪ねてくる。サマーキャンプを抜け出して、わざわざエリザに会いにきたセルジョのことで、エルマンノにからかわれる。エルネストとのことがトラウマになっているエリザは、ただの幼なじみだと答えながらも、セルジョが自分を見つめているのに気づくと、たまらなくしあわせに感じる。
 夏休み前日の学校生活、試験、そして田舎での夏休みが、エリザの一人称で語られる。母の死やエルネストとの出会いと裏切りと別れが過去のできごととして語られるが、むしろ、それらのできごとを綴った物語の続編を読んでいるような気がした。エルネストに傷つけられ、恋愛に対してブレーキをかけていたエリザが、クライマックスではアクセル全開になったのには少し驚いた。それにしても、身近にいる中学3年生に比べて、エリザはなんて大人びているのだろう。
 Edizione EL 社のYA向けシリーズ、"EX LIBRIS" のひとつ。

(647頁/3000頁)

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2007年12月 8日 (土)

Olga in punta di piedi

『つま先立ちのオルガ』
ベアトリーチェ・マジーニ作
"Olga in punta di piedi"
text by Beatrice Masini
illustrations by Serena Riglietti
Einaudi Ragazzi 2003, 108pp.
ISBN: 88-7926-434-6

 オルガは12歳。町で一番権威のあるバレエ学校に編入した。オルガの才能を認め、よりいい環境でバレエを学ばせたいという母の意向だったが、内気なオルガは新しい学校になかなかなじめない。前から通っている子たちに比べて、自分のバレエに自信が持てずにいた。バレエに拘束される時間が増え、遊ぶ時間が少なくなっても、近所の幼なじみたちとの付き合いは変わらずに続いていた。オルガは幼なじみのクレメンテを意識するようになる。
 この物語に出てくるバレエ学校は、小中学校の教育課程の傍ら、プロフェッショナルとしてのバレエを学ぶ学校で、日本には存在しないタイプの学校である。同じ作者の "Scarpette Rosa" シリーズ(『バレエに恋してる! バレエ・アカデミア 1』『きまぐれなバレリーナ バレエ・アカデミア 2』いずれも長野徹訳/ポプラ社)では、主人公のゾーエは最初からバレエ・アカデミアに通っていたが、こちらの主人公オルガは途中入学。前の学校とは違って厳しい先生たちや、意地悪なクラスメートに戸惑い、自分が学校のレベルに達していないのではないか、将来バレリーナになれるのだろうかと悩む姿が描かれている。

(562頁/3000頁)

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2007年12月 2日 (日)

Amico di un altro pianeta

『ほかの星から来た友だち』(仮題)
グィード・クァルツォ&アンナ・ヴィヴァレッリ作
"Amico di un altro pianeta"
text by Guido Quarzo & Anna Vivarelli
illustrations by Paolo D'Altan
Einaudi Ragazzi 1996, 103pp.
ISBN:88-7926-354-4

 ジジのクラスにルイスという少年が転校してきた。クラスメートはルイスがロマというだけで偏見を持ち、親しくなろうとしない。クラスでヴァレーリアの財布がなくなる事件が起き、その日たまたま遅刻してきて来たジジがみんなに疑われる中、ルイスだけがジジのことを信じ、慰めてくれたことをきっかけに、ジジはルイスと親しくなる。
 放課後、ジジは毎日ルイスと一緒に過ごすが、両親はそのことを快く思っていなかった。クラスの中でルイスに声をかけるのも、相変わらずジジだけ。そんなとき、ルイスが突然学校へ来なくなった。
 主人公のジジは中学2年生(日本では中学1年生の年齢に相当)の少年で、周囲から一風変わっていると思われ、小学校のころから今まで友だちになったのはヴァレーリアだけ。同性の友人はルイスが初めてだった。しかし、周囲の偏見は根強い。この物語ではファンタジーめいたきれいごとは一切描かれず、現実がそのまま突きつけられる。
 ロマとは、北インドを起源とする移動型民族。ヨーロッパでは、ユダヤ民族と同様、少数民族として偏見・迫害を受けているという。イタリアにいたころ、薄汚れた姿で施しを求めるロマの人たちの姿をよく見かけたが、その一方でロマの出自を持つ有名人がいることも知った。
 1996年チェント賞(Premio Cento)受賞作品。

(454頁/3000頁)

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